○ 第1章(続・続)
  そして、まじかる☆エンジェルは誕生する!☆

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.
第1章
︵
続
・
続
︶
.
よくあのとき悲鳴を
あげなか
っ
たわよね
︱
、
私
。
.
美也子は目の前をく
るるん
、
くるり
、
ぴ
ょ
ん
、
さ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
︱
っ
と右に行
っ
たり
、
左に
行
っ
たり
、
下に行
っ
た
り
、
上に行
っ
たり
、
く
るくる
、
くるくると飛
び回
っ
ているトトプト
を眺めながら思
っ
た
。
.
本当に楽しそう
。
.
いつのまにか
、
トト
プトの周りには
、
黄色
、
白
、
紫
、
大揚羽
︵
おお
あげは
︶
、
小揚羽
︵
こ
あげは
︶
、
たくさんの
蝶
々
が集まり
、
い
っ
し
ょ
にふわふわと飛び交
っ
ている
。
.
さすが
、
愛の妖精よ
ね
ぇ
。
.
美也子は小首をかし
げた
。
愛と幸せの妖精
・
・
・
あんまりそうは
見えないけど
。
.
くす
っ
と笑い
、
両手
でカバンを持
っ
たまま
、
ち
ょ
こん
、
と肩をすく
めた
。
.
トトプトは美也子の
目の前の空中で
、
ふわ
っ
と動きを止めた
。
.
彼女の方へと向き直
り
、
﹁
あれ
?
.
なに
?
.
美
也子ち
ゃ
ん
?
﹂
﹁
ん
︱
、
なんかね
ぇ
﹂
.
美也子は笑
っ
た
。
﹁
なんか
、
ち
ょ
っ
とだ
まされち
ゃ
っ
たかな
︱
っ
て
﹂
﹁
え
っ
、
え
っ
﹂
.
トトプトは
、
ち
ょ
っ
と
、
おろおろ
。
﹁
え
っ
、
誰に
?
﹂
﹁
ん
︱
、
トトプトに
﹂
﹁
え
っ
、
え
っ
?
﹂
.
トトプトはますます
、
おろおろ
、
おろおろ
。
﹁
え
っ
、
な
、
なんで
?
﹂
﹁
え
︱
、
だ
っ
て
﹂
.
美也子は
、
おろおろ
、
おろおろとするトトプ
トがなんだかおかしく
て
、
かわいくて
、
ち
ょ
っ
と意地悪をしてみた
くな
っ
た
。
﹁
だ
っ
て
︱
、
あのとき
、
愛をお届けにきました
、
なんて
、
突然
、
言うし
ぃ
﹂
﹁
え
っ
、
で
、
で
、
で
、
でも
﹂
.
トトプトは体を起こ
した
。
ぷにぷにお手
々
を
、
あわてて
、
ぱたぱ
たと上下に振りながら
、
﹁
で
、
で
、
で
、
でも
、
でも
、
あのとき
、
美也
子ち
ゃ
ん
、
愛が欲しい
っ
て
﹂
﹁
そり
ゃ
あ
、
言
っ
たけ
どね
﹂
.
美也子はに
っ
と笑
っ
た
。
﹁
でもな
︱
、
そん
なに本気で言
っ
たわけ
でも
・
・
・
﹂
﹁
そ
、
そ
、
そ
、
そんな
ことないよ
﹂
.
トトプトはさらにお
手
々
を上下に
、
ぱぱぱ
、
ぱたぱた
。
﹁
ぼ
、
ぼくね
、
ち
ょ
う
ど美也子ち
ゃ
んのおう
ちの上を通り過ぎると
きにね
、
ち
ょ
うどその
声を聞いて
、
あ
、
この
人だ
、
っ
て思
っ
たの
。
.
こ
、
言葉だけじ
ゃ
な
いよ
、
美也子ち
ゃ
んの
中にあるなにかを感じ
て
・
・
・
美也子ち
ゃ
ん
の心の中に眠
っ
ている
、
きらきら
、
きらきらと
したなにか
・
・
・
.
あのね
、
愛と幸せの
宝石を感じて
・
・
・
そ
れが見えたの
・
・
・
そ
れでね
、
あ
、
探してた
のは
、
この人だ
っ
て
、
思
っ
たんだよ
﹂
.
美也子はくす
っ
と笑
っ
た
。
﹁
うそば
っ
かり
﹂
﹁
ほ
、
ほ
、
ほ
、
ほんと
だよ
﹂
﹁
ほんと
?
﹂
﹁
そうだよ
、
ほんとだ
よ
﹂
﹁
ふ
︱
ん
﹂
.
美也子は首を左にか
たむけた
。
.
でも
、
まあ
、
悪い気
はしない
。
ほんとうに
あのとき
、
あの夜の驚
きとい
っ
たら
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
﹁
あの
、
ぼ
、
ぼく
、
愛
の妖精です
。
.
まじかるランドから
来ました
。
.
愛と幸せの妖精ぷり
んて
ぃ
ん
、
です
。
名前
は
、
トトプトといいま
す
﹂
.
その
﹃
なにか
﹄
︱
︱
自称
、
愛の妖精ぷりん
て
ぃ
ん
、
トトプトは勉
強机の上
、
黄色い便箋
の上で
、
ぺこり
、
と頭
をさげた
。
.
ち
ょ
こんと小さな両
手
?
を体の前で合わせ
て
、
と
っ
ても丁寧なご
あいさつ
。
.
でも
・
・
・
でも
、
美
也子は
、
ただ
、
ただ
、
ぼうぜんとするばかり
で
、
しばらくのあいだ
・
・
・
.
え
っ
?
.
ぽかんと口を開けた
まま
、
その小さな
、
つ
やつや
、
ぷよぷよの妖
精をぼうぜんと見つめ
ていた
。
.
妖精は顔が
、
つる
っ
、
ぷよん
、
としていて
、
下の辺りが
、
ふんわり
、
むに
ゅ
、
ぽこん
、
と出
っ
ぱ
っ
て
、
丸くな
っ
て
いる
。
.
そこについた
、
ち
ょ
こんとしたお口
。
.
小さなお目
々
。
.
体も同じく
、
つる
っ
、
ぷよん
、
としていて
、
ち
ょ
うど背中の辺りが
、
や
っ
ぱり大きくこぶの
ように
、
ぽよよん
、
と
盛り上が
っ
ていた
。
.
そして
、
短く
、
小さ
な
、
先の丸ま
っ
た手足
。
ぷに
ゅ
ぷに
ゅ
の手足
。
.
なんだか
、
ゼリ
︱
で
つく
っ
たお人形みたい
だ
っ
た
。
.
指でさわると
、
ぽに
ょ
ぽに
ょ
、
と
っ
ても気
持ちよさそう
。
.
ぷにぷにの
、
小さな
、
明るいピンクのゼリ
︱
のような
、
お菓子のよ
うな
、
妖精
︱
︱
.
しばらくして
、
美也
子はは
っ
として我に返
ると
、
遅ればせながら
、
思わず
、
き
ゃ
ぁ
っ
、
と
いう悲鳴がのど元まで
出かか
っ
た
。
.
見たこともない妖精
が机の上で当たり前の
ようにし
ゃ
べ
っ
ている
・
・
・
.
でも
・
・
・
.
でも
、
おずおず
、
一
生懸命
、
頭をさげて
、
ごあいさつをしている
ゼリ
︱
のような小さな
妖精の
﹃
後頭部
﹄
を見
ていると
、
なんだか声
を上げたら悪いような
気がした
。
.
不思議と気持ちが徐
々
に落ち着いてくるの
を感じた
。
.
もしかすると
、
もう
このときには
、
不思議
な
、
ぷりんて
ぃ
ん
、
の
魔法にかか
っ
ていたの
かも知れない
。
﹁
あ
、
あの
・
・
・
﹂
と
ピンク色の妖精は顔を
あげ
、
不安そうに言
っ
た
。
.
ぷにぷに
、
つやつや
、
のお顔
。
.
うん
・
・
・
.
美也子はつぶやいた
。
.
す
︱
っ
と気持ちが落
ち着いてくると
、
なん
だか目の前の出来事
、
すべてを受け入れるこ
とができるような気が
した
。
.
妖精
・
・
・
.
愛の妖精
・
・
・
.
ん
っ
、
と息を飲み込
み
、
椅子に座りなおし
た
。
.
とにかく話を聞いて
みよう
。
.
ち
ょ
こん
、
と顔を上
げた妖精を見つめ
、
﹁
と
・
・
・
トトプト
?
.
ぷりんて
ぃ
ん
?
.
ト
トプト
、
っ
ていうのが
・
・
・
き
、
きみの名前
なの
?
﹂
.
小さな妖精は
、
こく
り
、
とうなずいた
。
よ
うやく少し安心したの
かも知れない
、
その顔
に
、
にこ
っ
とした笑顔
が浮かんだ
。
﹁
うん
・
・
・
うん
、
そ
う
。
こんにちは
。
ぼく
・
・
・
ぼく
、
トトプト
。
トトプトが名前
。
それ
でね
・
・
・
あの
、
はじ
めまして
。
ぼく
、
愛の
妖精です
。
愛と幸せの
妖精ぷりんて
ぃ
ん
﹂
﹁
ち
ょ
、
ち
ょ
っ
とま
っ
て
﹂
.
美也子は片方の手を
かざし
、
反対の手の指
先を額に当てた
。
.
少しだけ
、
頭の中を
ゆ
っ
くりと整理した
。
.
トトプト
・
・
・
トト
プトが名前
。
それで
、
この子は愛の妖精
・
・
・
妖精
っ
て
・
・
・
や
っ
ぱりあの妖精よね
・
・
・
うん
、
そうよね
。
愛
と
・
・
・
愛と幸せの妖
精ぷりんて
ぃ
ん
・
・
・
.
よし
、
と美也子は心
の中でつぶやいた
。
う
ん
、
よし
・
・
・
.
美也子は静かに息を
つき
、
もう少しだけ気
持ちを落ち着けた
。
.
どきどき
、
どきどき
、
と心臓が高鳴
っ
ている
。
.
妖精
・
・
・
.
愛の妖精
、
愛と幸せ
の妖精
、
という言葉が
頭の中に繰り返し響き
渡る
。
.
どきどき
、
どきどき
、
とする
。
.
トトプトはもうす
っ
かり安心した様子で
、
にこにこ
、
にこにこと
笑
っ
ている
。
ぷにぷに
、
つやつや
、
のお顔で
。
.
わ
っ
、
かわいい
・
・
・
あ
っ
・
・
・
.
美也子は
、
こほん
、
と咳払いをした
。
.
あ
っ
、
落ち着かなき
ゃ
・
・
・
.
両方の手の指先を机
の端についた
。
.
その愛の妖精さんが
・
・
・
妖精さんがい
っ
たい
・
・
・
.
す
っ
と
、
ち
ょ
っ
とだ
け身を乗り出し
、
トト
プトを見つめた
。
﹁
それで
・
・
・
あの
・
・
・
その愛の妖精さん
が
・
・
・
妖精さんが
、
私になにかご用
?
﹂
﹁
あのね
﹂
.
美也子がたずねると
、
トトプトはふいにまじ
めな顔つきにな
っ
た
。
﹁
う
、
うん
﹂
.
トトプトは
、
ぐ
っ
と
息を飲み込み
、
小さな
お手
々
をぎ
ゅ
っ
と内側
に丸め
、
﹁
あのね
、
いま
、
世界
は危機にひんしている
の
﹂
.
・
・
・
.
・
・
・
・
・
.
?
?
?
﹁
は
っ
?
﹂
.
美也子はぼうぜんと
トトプトを見つめた
。
﹁
え
っ
?
﹂
﹁
あのね
、
世界は
・
・
・
﹂
﹁
ち
ょ
、
ち
ょ
っ
とま
っ
て
!
﹂
.
美也子はふたたびト
トプトを手で制し
、
反
対の手の指先を額に当
てた
。
.
ふたたび頭が混乱し
ていた
。
あまりに意外
な
、
予想もしていなか
っ
た答えに
、
頭がふた
たび
、
ぐるぐる
、
ぐる
ぐると混乱する
。
.
は
っ
?
.
世界
?
.
世
界が
・
・
・
危機にひん
している
?
.
え
っ
?
.
世界
?
.
世界
っ
て
・
・
・
え
っ
?
.
なに
?
.
世界
っ
て
?
.
え
っ
?
.
え
っ
?
﹁
あのね
、
世界は
・
・
・
﹂
﹁
ち
ょ
、
ち
ょ
っ
と
﹂
.
美也子は
、
ごくん
、
とつばを飲み込んだ
。
﹁
世界
っ
て
・
・
・
あの
、
世界
っ
て
、
あの
・
・
・
﹂
﹁
世界はね
、
いま危機
にひんしてるの
﹂
﹁
あ
、
そ
、
そうね
﹂
.
美也子は笑
っ
た
。
﹁
はは
、
そうよね
、
い
ろいろと
、
いろいろと
大変らしいものね
。
はは
﹂
﹁
もう時間がないの
﹂
﹁
は
、
はは
﹂
﹁
まじめに聞いて
!
﹂
﹁
は
、
はい
っ
﹂
.
美也子はし
ゃ
きん
、
と背筋を伸ばした
。
.
トトプトはそれまで
とは打
っ
て変わ
っ
た
、
き
っ
とした眼差し
︵
と
い
っ
ても
、
つぶらな小
さなお目
々
を一生懸命
、
き
っ
としただけ
︶
で
、
美也子を見つめた
。
.
美也子は
、
ごくん
、
とつばを飲み込んだ
。
.
トトプトは話をはじ
めた
。
.
・
・
・
・
・
・
.
トトプトの話による
と
、
この世界にはここ
とは別の
、
ぷりんて
ぃ
んたちの世界
、
ぷりん
て
ぃ
んたちの国がたく
さんあ
っ
て
、
そのうち
の一つが
、
トトプトの
ふるさと
、
まじかるラ
ンド
、
だということだ
っ
た
。
︵
ちなみに
、
ぷりんて
ぃ
んたちの世界は
、
こ
の世界をそ
っ
と包み込
むような形で
、
空のか
なたに存在しているら
しい
。
でも
、
人間はそ
のことに気づいていな
いだけ
、
とのこと
。
︶
.
ぷりんて
ぃ
んは世界
のはじまりの頃から
、
この世界にいて
、
人
々
の心と心がそ
っ
とふれ
合
っ
たとき
・
・
・
.
人
々
と動物
、
動物と
動物たち
、
植物と人
々
のふれ合い
、
木
々
のは
ざま
、
花
々
の中
、
そう
したものの中から生ま
れてくる愛のきらめき
・
・
・
.
そのきらめきの中か
ら生まれてくるもの
、
それが
、
ぷりんて
ぃ
ん
、
なのだという
。
.
心のきらめきそのも
の
、
愛のきらめきその
もの
、
それが
、
ぷりん
て
ぃ
ん
、
なのだという
。
.
だから
、
ぷりんて
ぃ
んは愛の妖精だし
、
愛
と幸せを人
々
のもとへ
と運んでくることので
きる妖精
。
.
ふだんは目には見え
ないけれど
、
この世界
に様
々
なきらめきが満
ちているように
、
ぷり
んて
ぃ
ん
、
はこの世界
のいろいろな場所にい
っ
ぱい満ちていて
、
.
人
々
を
、
動物たちを
、
植物を
、
この世界にあ
る
、
ありとあらゆるも
のをいつも
、
そ
っ
と見
守
っ
ている
、
とのこと
。
.
愛のきらめきが
、
.
ぷりんて
ぃ
ん
。
.
人
々
の心の数だけ
、
愛の数だけ
、
ぷりんて
ぃ
んはこの世界に存在
している
。
ず
ぅ
っ
と
、
ず
ぅ
っ
と
、
むかしから
、
ず
ぅ
ぅ
ぅ
っ
と
。
.
ず
ぅ
ぅ
ぅ
っ
とむかし
から
、
いままで
、
ず
ぅ
ぅ
ぅ
っ
と
。
﹁
でも
・
・
・
﹂
とトト
プトは目を伏せて
、
言
っ
た
。
.
美也子はその姿に知
らず
、
き
ゅ
ん
、
と胸が
締め付けられるような
気がした
。
.
トトプトは本当にし
ょ
んぼりとしている
。
.
美也子は
、
ぎ
ゅ
っ
と
手をにぎり
、
ぐ
っ
と息
を飲み込んでいた
。
.
でも
、
この何十年か
のあいだに
、
急速にこ
の世界から
、
心のきら
めきが
、
愛のきらめき
が失われてい
っ
ている
のだという
。
.
虚無とカオス
︵
混沌
︶
が急速に人
々
の心の中
に広が
っ
ている
。
.
この世界に満ちてい
る様
々
なきらめきの中
から生まれてくるのが
、
ぷりんて
ぃ
ん
。
.
だから
、
ぷりんて
ぃ
ん
、
もどんどんと数が
減
っ
ていて
、
このまま
だと世界から
、
ぷりん
て
ぃ
んがいなくな
っ
て
しまうかも知れない
。
.
もし本当にぷりんて
ぃ
んがすべていなくな
っ
てしま
っ
たなら
、
世
界から
、
人
々
の心の中
から
、
ありとあらゆる
ものの中から
、
きらめ
きが失われて
、
人
々
の
心の中は永遠に闇に閉
ざされてしまう
。
.
そこに残るのは
、
.
虚無とカオス
︵
混沌
︶
.
ねたみ
、
憎しみ
、
怒
り
、
そのほかあらゆる
闇が心をおおい
、
人
々
はお互いに思いや
っ
た
り
、
慈しんだり
、
愛し
合
っ
たりする気持ちを
忘れ
、
すべて自分の欲
望のままに
、
お互いを
傷つけあうようにな
っ
てしまう
。
.
本当は心の中に誰も
が持
っ
ている愛の宝石
が闇につつまれて
。
.
本当は誰もが
、
すて
きなきらめきをも
っ
た
エンジ
ェ
ルなのに
。
.
その先にあるのは
、
.
破滅
。
.
滅亡
。
.
世界はわずかなあい
だに滅亡への坂道を転
がり落ちてい
っ
てしま
う
。
.
特にこの数年は
、
ま
すますものすごい勢い
で
、
世界から
、
きらめ
きが失われてい
っ
てい
る
。
.
まるで見えない強い
力が働いているかのよ
うに
。
.
だから
・
・
・
﹁
だからね
、
だからぼ
くたち
、
ぷりんて
ぃ
ん
の長老はね
、
まじかる
ランドの中からぼくた
ち子供のぷりんて
ぃ
ん
を選んで
、
地上へと派
遣したの
。
.
ぷりんて
ぃ
んの中で
も
、
子供のぷりんて
ぃ
んは特に大きなきらめ
きを持
っ
ているから
。
それでね
・
・
・
﹂
.
トトプトは美也子を
見上げた
。
.
彼女は思わず
、
ドキ
ッ
、
とした
。
.
どきどき
、
どきどき
、
とする
。
.
やだ
、
私
っ
たら
・
・
・
.
トトプトは小さなつ
ぶらなお目
々
で美也子
を見つめる
。
﹁
それでね
・
・
・
それ
で
、
長老は言
っ
たの
。
.
もうあまり時間は残
されていない
。
でも
、
まだ間にあう
。
.
だから
、
人
々
の中か
ら特に大きなきらめき
を持
っ
た
・
・
・
愛と幸
せの宝石を持
っ
た人を
見つけて
・
・
・
本当の
心のエンジ
ェ
ルを見つ
けて
、
ぼくたちの力を
分け与えてあげて
っ
て
。
.
そのエンジ
ェ
ルの子
たちを助けて
、
闇に曇
っ
た人
々
の心を
・
・
・
人
々
のよごれた心をき
れいにしてあげて
っ
て
。
.
誰よりも強いきらめ
きを持
っ
たエンジ
ェ
ル
の子たちと協力して
、
少しずつ
、
少しずつ
、
この世界にきらめきを
取り戻してきて
っ
て
。
まだ間にあうから
。
.
あのね
、
だからね
・
・
・
だから
、
ぼく
、
こ
こに来たの
﹂
.
美也子は
、
ぽかん
、
としてトトプトを見つ
めた
。
.
え
っ
、
ち
ょ
っ
とま
っ
て
、
それ
っ
て
・
・
・
.
ごく
っ
とつばを飲み
込む
。
﹁
あ
、
あの
、
それ
っ
て
・
・
・
私が
・
・
・
﹂
﹁
うん
﹂
.
トトプトは笑
っ
た
。
﹁
うん
、
そうだよ
﹂
﹁
ち
ょ
、
ち
ょ
、
ち
ょ
、
ち
ょ
っ
とま
っ
て
﹂
.
美也子は椅子の背も
たれに体をあずけ
、
ず
ず
っ
と少しだけ後ずさ
っ
た
。
﹁
ち
ょ
っ
とま
っ
て
、
私
、
そんなんじ
ゃ
・
・
・
﹂
﹁
ううん
﹂
.
トトプトは
、
ふるふ
る
、
ふるふる
、
と顔を
振
っ
た
。
﹁
そんなこと
ない
。
ぼくには分かる
んだ
。
.
ぼくには感じる
。
君
は
・
・
・
君は
、
他の誰
よりも大きなきらめき
を心に秘めている
。
愛
と幸せの宝石を持
っ
て
いる
。
自分ではまだ気
づいていないかも知れ
ないけれど
﹂
﹁
あ
、
あの
・
・
・
﹂
﹁
ね
っ
﹂
.
トトプトはふわ
っ
と
机の上から浮かび上が
っ
た
。
.
ゆ
っ
くりと
、
でも
、
す
︱
︱
︱
︱
︱
っ
と美也
子の前まで飛んでくる
。
﹁
ね
っ
﹂
﹁
え
っ
?
﹂
.
ふいに美也子とトト
プトのあいだの空中に
、
キラキラ
、
キラキラと
したステ
ィ
ッ
クが浮か
び上が
っ
た
。
.
映像
?
.
・
・
・
ではなか
っ
た
。
.
それは確かにそこに
、
空中に浮かんでいる
。
それは先に二つのハ
︱
トが水平に交わ
っ
てい
て
・
・
・
.
キラキラ
、
キラキラ
と輝いている
。
﹁
ね
っ
、
これを受け取
っ
て
﹂
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
﹁
だからさ
ぁ
、
ど
︱
も
、
そこがだまされた気が
するのよね
︱
﹂
﹁
え
っ
?
.
ど
、
どうし
て
?
﹂
﹁
だ
っ
てさ
ぁ
﹂
.
美也子は空き地の中
をま
っ
すぐに続く一本
道を歩きながら
、
両手
で持
っ
た通学カバンを
ち
ょ
っ
とだけ
、
ち
ょ
こ
ん
、
と振り上げた
。
.
中に入
っ
た筆箱が
、
ガチ
ャ
ン
、
と小さな音
をたてる
。
﹁
だ
っ
てさ
ぁ
、
あのときトトプト
、
﹃
ね
っ
、
これを受け取
っ
て
﹄
っ
ていうだけで
、
あのステ
ィ
ッ
クが何な
のか
っ
てこと
、
ぜんぜ
ん説明しなか
っ
たじ
ゃ
ない
﹂
.
美也子はちら
っ
とト
トプトへと目を向けた
。
.
トトプトは彼女の顔
のすぐわきを
、
ふわふ
わ
、
ふわふわ
、
と飛ん
でいる
。
その周りには
たくさんの蝶
々
。
﹁
で
、
で
、
でも
・
・
・
﹂
.
トトプトは
、
と
っ
て
も困り顔
。
.
美也子はくす
っ
と笑
っ
た
。
﹁
ま
、
いいけどね
﹂
.
・
・
・
.
美也子は空中に浮か
んだステ
ィ
ッ
クを本当
に自然に
、
知らず知ら
ずのうちに手にと
っ
て
いた
。
.
ず
っ
とむかしから自
分のものであ
っ
たかの
ように
、
ず
っ
とむかし
から知
っ
ていたもので
あ
っ
たかのように
、
本
当に自然に
、
気がつい
たときには
、
そ
っ
と両
方の手にと
っ
ていた
。
.
その瞬間
、
.
あ
っ
・
・
・
.
ふいに美也子の体は
キラキラとした明るい
光につつまれていた
。
体の奥の奥
、
ず
っ
と心
の奥底からあたたかな
ものが込み上げてくる
。
.
わ
っ
、
.
なに
・
・
・
.
美也子はす
っ
と目を
閉じた
。
これまで感じ
たことのない
、
きらき
ら
、
きらきらとした光
を感じる
。
.
自分の中にねむ
っ
て
いた光
︱
︱
.
きらめき
、
.
愛と幸せの宝石
。
.
光はすぐに消えた
。
すべての光が美也子の
体の中に吸い込まれて
いくかのように
。
.
そ
っ
と目を開く
。
.
手にはステ
ィ
ッ
クが
握られている
。
.
そのステ
ィ
ッ
ク
︱
︱
.
トトプトの言葉を借
りるなら
、
.
愛と幸せの
﹃
まじか
るステ
ィ
ッ
ク
﹄
には
、
.
様
々
な不思議な力が
宿
っ
ていた
。
︵
そのすべての力を彼
女はまだ知らない
。
ト
トプトもすべては分か
らない
、
と言
っ
ていた
。
ステ
ィ
ッ
クのすべてを
知
っ
ているのは
、
ぷり
んて
ぃ
んの世界をつか
さどる女王さま
?
だけ
、
らしい
。
︶
.
特に大きな
、
重要な
力は
、
トトプトから教
わ
っ
たある
﹃
ことだま
﹄
を唱えながらステ
ィ
ッ
クを振ると
、
ステ
ィ
ッ
クに
﹃
あること
﹄
が起
こり
、
そこからあたた
かな
、
まぶしい光がは
なたれるというもの
。
.
誰にでも出来ること
ではない
、
という
。
ス
テ
ィ
ッ
クに選ばれた特
別なエンジ
ェ
ルだけが
できること
。
.
はなたれた光は美也
子をそ
っ
とつつみ込み
、
彼女に不思議な力を与
える
。
.
愛のきらめきの力
、
.
ぷりんて
ぃ
んの力
、
.
なにより
、
彼女自身
が本来も
っ
ている力
、
.
愛と幸せの宝石の輝
き
。
.
ステ
ィ
ッ
クの光は彼
女の姿をも変えた
。
.
はじめての晩
、
トト
プトに言われるままに
ステ
ィ
ッ
クを振
っ
た後
、
美也子はその自らの変
化に驚き
、
とまどいを
感じずにはいられなか
っ
た
。
.
ぼうぜんと壁の鏡に
映る自らの姿を見つめ
た
。
.
学校ではあまり目立
たない静かな自分
。
.
でも
、
.
・
・
・
そこには別の
自分がいた
。
.
これが
・
・
・
私
・
・
・
.
とまどい
︱
︱
.
それでも
、
体の奥底
から湧き出してくる
、
無限の光の感覚はあた
たかか
っ
た
。
どこかな
つかしいものを感じた
。
.
これが
、
.
・
・
・
私
?
.
髪の色も金色に変わ
り
、
服もピンクを基調
とした独特のコスチ
ュ
︱
ムへと変わ
っ
ていた
。
.
左右それぞれの胸当
ての形はハ
︱
ト
。
.
そのハ
︱
トとハ
︱
ト
が胸の中ほどで接し
、
やわらかな形をつく
っ
ている
。
.
それは
、
﹃
ぷりんて
ぃ
ん
﹄
を象徴する形だ
と
、
トトプトは言
っ
た
。
︵
でも
、
正直に言うと
、
この胸当てだけは
、
い
まだに美也子は
、
う
︱
ん
、
ち
ょ
っ
とどうかな
︱
、
と思
っ
ている
。
︶
.
美也子は鏡を見つめ
ていた
。
.
は
っ
として後ろを振
り返ると
、
そこにはト
トプトがふわふわと浮
かんでいた
。
.
トトプトは
、
に
っ
こ
りと笑い
、
﹁
さ
っ
、
美也子ち
ゃ
ん
。
行くよ
!
﹂
.
その晩から
、
美也子
の
﹃
まじかるエンジ
ェ
ル
﹄
としての活躍がは
じま
っ
た
。
﹁
わ
っ
﹂
.
まじかるエンジ
ェ
ル
に姿を変えているあい
だ
、
美也子はトトプト
と同じように宙に浮き
、
空をかけることができ
た
。
﹁
わ
っ
、
すごい
、
気持
ちいい
︱
﹂
.
眼下の町並みが小さ
く
、
小さく見える
。
.
様
々
な場所で
、
﹃
心
のよごれたエンジ
ェ
ル
さん
﹄
を見つけ
、
心を
きれいにした
。
.
日本中
、
どこにでも
、
トトプトの不思議な力
で
、
一瞬のうちに
、
テ
レポ
︱
ト
︵
瞬間移動
︶
することができた
。
.
この突然あらわれた
不思議な少女の活躍は
、
翌日からすぐに新聞の
紙面をかざり
、
テレビ
のニ
ュ
︱
スの話題を独
占した
。
.
髪や服装は変わ
っ
て
いても
、
顔は素顔のま
ま
。
.
でも
、
トトプトがい
うには
、
ぷりんて
ぃ
ん
の魔法の力によ
っ
て
、
感覚がずらされ
、
たと
え美也子をよく知
っ
て
いる友達でも
、
まじか
るエンジ
ェ
ルと美也子
が同一人物だとは
、
ぜ
っ
たいに分からない
、
とのことだ
っ
た
。
.
美也子の活躍は
、
ま
じかるエンジ
ェ
ルの活
躍は
、
毎晩のように続
いた
。
.
でも
、
自宅の自室に
戻り
、
﹃
変身
﹄
を解き
、
もとの姿に戻
っ
た後
、
美也子は決ま
っ
て
、
ず
ど
︱
ん
、
とした自己嫌
悪に陥
っ
た
。
.
う
︱
︱
︱
︱
︱
︱
ぅ
ぅ
。
.
頭に浮かぶのは
、
ま
じかるエンジ
ェ
ルに寄
せられる人
々
の声援
。
﹁
まじかるエンジ
ェ
ル
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
!
﹂
﹁
がんばれ
︱
、
俺たち
がついてるぞ
︱
﹂
﹁
いいぞ
︱
﹂
﹁
いけ
︱
﹂
.
そして
、
歓声
!
﹁
おおお
、
おおお
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
ぉ
!
﹂
.
う
︱
︱
︱
︱
︱
︱
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
。
.
美也子は自室の壁際
のベ
ッ
ドに腰を下ろし
、
顔をま
っ
赤にした
。
.
曲げた両腕を
、
き
ゅ
っ
とすぼめる
。
.
う
︱
︱
︱
︱
︱
、
なん
で毎回
、
私
、
変身して
いるあいだは
、
あんな
こと出来るんだろう
・
・
・
。
う
ぅ
︱
︱
、
は
、
はずかしい
ぃ
ぃ
ぃ
ぃ
ぃ
!
!
!
!
.
おまけに二週間前か
らは
、
彼女と同じよう
に
、
それぞれ
、
別のぷ
りんて
ぃ
んから力を授
けられた二人の少女と
出会い
、
い
っ
し
ょ
に行
動している
。
︵
実際には
、
トトプト
が
、
ぷりんて
ぃ
ん同士
で連絡を取り合い
、
三
人を引き合わせた
、
の
が本当
。
︶
.
いつのまにか
、
自分
がリ
︱
ダ
︱
。
.
彼女一人の
﹃
まじか
るエンジ
ェ
ル
﹄
は
、
三
人の
﹃
まじかるエンジ
ェ
ルズ
﹄
にな
っ
た
。
.
そんな生活がもう三
週間
。
.
・
・
・
﹁
は
ぁ
﹂
と美也子はた
め息をついた
。
.
まじかるエンジ
ェ
ル
にな
っ
ているときの自
分は自分ではない
、
と
思う
。
.
自分ではない
、
別の
自分
。
.
美也子は顔をあげ
、
両手で持
っ
た通学カバ
ンをち
ょ
っ
とだけ
、
ち
ょ
こん
、
と体の前で振
り上げた
。
.
中の筆箱が
、
ガチ
ャ
ン
、
と音をたてる
。
.
くす
っ
と笑
っ
た
。
.
左手の空き地へと目
を向けた
。
.
空き地の中
、
青
々
と
しげ
っ
た草の上
、
トト
プトがたくさんの
、
色
とりどりの蝶
々
とい
っ
し
ょ
に
、
楽しげに飛び
回
っ
ている
。
.
右に
、
左に
、
.
上に
、
下に
、
くるく
る
、
くるくる
、
と
。
.
ま
、
仕方ないか
・
・
・
.
にこにこ
、
き
ゃ
っ
き
ゃ
っ
、
と笑
っ
ているト
トプトを見ていると
、
そう思う
。
.
人
々
にきらめきをふ
りまく
、
.
心をきれいにする
、
.
愛と
、
.
幸せの
、
.
・
・
・
まじかるエン
ジ
ェ
ルズ
。
.
でも
、
.
それでも
、
美也子は
青く青く晴れ渡
っ
た空
を見上げ
、
﹁
は
ぁ
﹂
と
ため息をつき
、
思わず
、
こうつぶやかずにはい
られなか
っ
た
。
﹁
う
ぅ
ぅ
ぅ
、
.
私の
﹃
ふつうの
﹄
.
女学生ライフ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
ぅ
﹂